The Wave Vol.38(通刊129号)
1998年6月14日(日)発行
2002年は始まってるぞ号
編集・発行:はぐれ上村組軍団
<表紙>1998年5月28日(木)河北新報夕刊一面
スペシャルワイド/W杯サッカー仏大会まで2週間/仙台
行っちゃう人もテレビ観戦組もさあ燃えよう
「4年後、2002年大会は地元選手出したい」思いは同じ
日の丸に寄せ書き、仲間に託す/宮城・開催準備委は運営法勉強へ
大画面で生中継などイベントも
「ニッポン」が初出場するサッカーのワールドカップ(W杯)フランス大会
開幕まで、あと2週間。出場を決めた、あの岡野のゴール(昨年11月、対イ
ラン戦)の感動をもう一度と、仙台でも大勢のファンがフランス行きの切符を
買い、テレビ大応援会に今から浮き立っている。2002年(平成14年)、
W杯の地元開催を準備する宮城県や仙台市も視察団をフランスに送る。さあ、
世界最大のお祭りをどう楽しみ、盛り上がりを4年後にどうつなぐ。(特報部
・寺島秀弥)
<応援席で振って>
23日、ブランメル仙台の応援に約4400人が詰めかけた仙台スタジアム。
バックスタンドの一角に、日の丸が広げられた。
「必勝!」などと寄せ書きを始めたのは、ブランメル応援団「ブラネッツ」
の会員ら。「W杯に観戦に行く仲間に、熱い期待を込めた日の丸を託し、応援
席で振ってもらう」と、リーダーの針生浩信さん(28)。
旗を託される側の1人は、6月20日のクロアチア戦に飛ぶ太白区の公務員
佐々木由美子さん(36)。同じ会員の夫で公務員知広さん(42)と2人、
「イラン戦勝利の晩、フランス行きを誓った」と言う。だが、仕事の都合や3
0万円の旅費もあり、妻が家族代表に。知広さんの寄せ書きは「早く帰って来て」。
もう1組は、青葉区の会社員内田浩之さん(33)と妻明子さん(27)。
26日のジャマイカ戦が新婚旅行だ。婚約した4カ月前、明子さんに恐る恐る
「フランス」を切り出したら、意外にスンナリと「私を連れてって」。「日本
の勝利は堅い」と、そろいの日本代表のジャージーで応援する。
W杯の熱気をたっぷり吸った日の丸を、次は仙台スタジアムの応援でなびか
せる。「そうして、2002年には地元から代表選手を」と針生さんらは燃える。
<格好のモデル>
「盛り上がりを、4年後の地元開催に生かしたい」と話すのは、2002年
W杯宮城・仙台開催準備委員会の大畑民夫事務局長。宮城県と仙台市でフラン
ス大会視察団を結成、W杯の運営ぶりを勉強してくる。
注目するのが現地の市民ボランティア。長野五輪では3万2000人が登録
し、会場整理や事務、選手の世話役などで活躍。W杯も市民が主役になる。日
本の試合があるリヨンなどは数十万人規模の地方都市。仙台市にとって格好の
モデルだ。
「世界中の選手や取材陣、サポーターが集まるW杯は貴重な交流の舞台。多
彩な市民が参加できるボランティアの形を調べたい。その意味でも、サッカー
を愛する人がたくさん生まれてほしい」と期待は膨らむ。
<2000人分を用意>
「オカノー!」。あのイラン戦の夜、仙台では若いファンたちの祝勝パレー
ドが飛び出した。「やっぱり感動はみんなで」と、フランスに行けないファン
のための大応援会が開かれる。
仙台サンプラザ(仙台駅東口)では14日夜のアルゼンチン戦を、6メート
ル×5メートルの大画面で生中継。主催のW杯宮城・仙台開催準備委は希望者
に2000人分の無料入場券を用意、7時開場で8時からイベントもある。
イラン戦の夜、約100人のファンが集まった仙台駅東口のレストラン「ビ
アジャングル」でも、一次リーグの日本の全試合を店内で放映する。3試合と
も常連ファンが店を埋める予定。
ちなみにフランス行きの応援ツアーの方も「3試合とも、まだ余裕がありま
す」(JTB団体旅行東北支店、東北海外旅行など)。
サンプラザ仙台の応援会の問い合わせは同準備委022(211)2381、
2382へ。
◎元日本代表・ブランメル仙台 越後和男主将に聞く
出場はJリーグ効果/東北出身選手「気迫、自分出そう」
ワールドカップ(W杯)は、サッカー選手にとって最高の夢。ブランメル仙
台の司令塔で元日本代表(代表6回)の越後和男主将(32)に、W杯への思
いやファンへの期待を聞いた。
−代表に選ばれた時(1987年)の気持ちは
それはうれしかった。加藤久さん(塩釜市出身)が主将。木村和司さん(元
横浜マリノス)、松木安太郎さん(セレッソ大阪監督)ら個性的な顔ぶれがい
た。
−W杯出場が夢だった?
遠い夢。五輪のアジア予選を勝ち抜くのも難しい時代で、W杯なんて、テレ
ビで観戦する別世界だった。
−現日本代表の印象は
強くなった。昨年、アジア第3代表決定戦で破ったイランも、韓国も、当時
は歯が立たなかった相手。このレベルアップは、間違いなく“Jリーグ効果”だ。
−何が変わったのか
ジーコ(元ブラジル代表)ら、世界で戦う男たちが続々やって来た。私の古
巣のジェフ市原では、ブランメルにもいたリトバルスキー(元ドイツ代表)。
技術論より、「もっと自分を出せ。自信を持て」と日本人の狭い殻を破ってくれた。
−W杯初出場の効果は
今度は日本人が世界で戦う経験と自信を持ち帰る。Jリーグに上がれば世界
に手が届く。そんなチャンスの時代になる。ブランメルは奮起し、勝たなくては。
−ファンへの期待は
ブランメルは若い選手が多く、とりわけ東北出身者はおとなしい。日本代表
を目指すくらいの気迫で、自分を出すべきだ。ファンにはぜひW杯の熱気と厳
しさでチームを激励し、J昇格の起爆剤になってほしい。